わたしたちの脳※1はおおよそ1000億個の神経細胞でできています。
それぞれの神経細胞の大きさは0.1mm~0.005mmほどであり、細胞体、樹状突起、軸策で構成されています。神経細胞同士は樹状突起と軸索で繋がっており※2一方から一方へ情報を伝達しています。その情報伝達の媒体になっているのが活動電位といわれる電気信号です。
この電気信号の電位差に周期性があり、これが脳波の正体です。
脳波の発見
1929年ドイツの精神科医ハンス・ベルガ―は「ヒトの脳波について」と題した論文を発表した。これが、ヒトの脳の電気活動を記録し正確に記載した初の論文である。 |
脳波を測定するには、電極を頭皮上に配置します。頭皮、頭蓋骨、髄液、硬膜などを通して、脳の活動電位を測定することになります。一つの電極の検出対象範囲には膨大な数※3の神経細胞が存在しているため、それらの総和を検出します。
※3:大脳では1㎣あたり約10万個の神経細胞が存在します。
電極を配置する箇所は国際脳波学会が推奨する「10/20法」に準じて、耳のアースを除き19箇所の装着位置が指定されています。使用する電極の数は、検査の目的によって決まります。
脳波の分類
脳波は周波数によって次のように分類されます。 ※1 4~17Hzを中間速波、30Hz以上をγ(ガンマ)波とする場合もあるが、国際脳波学会連合の勧告案では、14Hz以上をβ(ベータ波)と一括されている。
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脳は人間の思考、行動を支配するだけではなく、その情動面や自立機能をも統制する中枢器官です。脳波を観察することにより、時々刻々と進行する脳機能の変化を客観的にとらえることができます。 脳波測定の用途は分野によって異なり、主に次のように分けられます。
医療分野 | ・・・ | 様々な病気の診断のための臨床検査として使用 |
研究分野 | ・・・ | 医学をはじめ、心理学、生理学、工学、体育科学、社会学、経済学まで様々な分野に於いて、心理、生理状態の判定に使用 |
大学や、企業の研究、調査において脳波の測定データが必要とされる場合があります。その場合、従来は医療用の脳波計が使用されていましたが、実際の研究現場では「機器の操作が。難しい。」「データ解析に専門的な知識(or ノウハウ)や経験が必要とされる。」「被験者の拘束時間や負担が大きい。」などの問題が発生しがちでした。 そこで、簡易型の脳波計を使用するケースが増えてきています。 弊社脳波測定器(脳波計)は操作が簡便で測定時の被験者へのストレスが少ないため、容易に大量のデータを収集することが可能です。それにより、測定誤差を緩和し、その平均値から傾向を割り出していくという方法が、健常者の心理・生理的な傾向を捉えるための、実践的な研究方法として高く評価されているのです。
弊社脳波計は研究での脳波の分析の他に、脳波を自己制御するための「バイオフィードバックトレーニング機能」が搭載されています。バイオフィードバックトレーニングとは脳波の状態を、脳波計で確認しながら、自分自身の脳波の状態をより良い方向に導くためのトレーニング方法です。